ランチセミナー


協調的知能共同研究
ランチセミナー
人と社会と共存する知的システムを構築するための協調的知能「人と協調するAI」をテーマとして、学外から講師をお招きし、主に学部生を対象としたランチセミナーを毎月開催します。
昼食付き※
月1開催!
12:10 ~ 12:50
10/15
(月)
先生
立命館大学
記号創発システム
〜人間と記号・言語を用いて協調する知能を
生み出すために必要なシステム論に向けて〜
12/11
(火)
先生
NTT
気軽に雑談できるシステムの
実現を目指して
11/13
(火)
先生
(株)ドワンゴ 人工知能研究所
Beneficialな脳型AGIの
民主的な開発を先導する
1/22
(火)
先生
大阪大学
データ科学と認知モデリング
〜意思決定の計算論的認知科学〜
◆参加費:無料
◆対象:主に京都大学の学生
◆事前申込:不要
◆各日とも当日11:55より現地で受付開始
※昼食(弁当)を提供しますが、数に限りがありますので参加者多数の場合は昼食の持ち込みや立ち見をお願いすることがあります。予めご了承ください。

主催:京都大学大学院 情報学研究科 協調的知能共同研究講座

お問い合わせ:contactci.ist.i.kyoto-u.ac.jp



これまでのランチセミナー


2018年11月13日 第13回協調的知能(CI)共同研究セミナー ***第7回ランチセミナー***
日時 2018年11月13日(火) 12:10-12:50
場所 国際科学イノベーション棟 1階ラウンジ

山川宏先生 ((株)ドワンゴ 人工知能研究所)
Beneficialな脳型AGIの 民主的な開発を先導する
今回のランチセミナーは(株)ドワンゴ人工知能研究所の山川宏先生.2014年にドワンゴで人工知能研究所を設立された山川先生は,2015年に全脳アーキテクチャ・イニシアティブ(WBA)の代表に就任し,日本における脳型の人工知能構築を先導していらっしゃいます.
冒頭では深層学習に至るAI研究の歴史を概観した後に現在のAIの課題が挙げられた.現状で人のような知能を目指すAI研究は、乳幼児の発達過程を追う形でも進んでいる.しかし基本的な常識を獲得しつつあるが生後半年程度のレベルであり、未だ直感的な物理や心理的な背景を把握できないことが指摘された.一方で,ロボット自らが収集したデータをもとに初見の物体を操作できるUCバークレーの研究事例や,先月アナウンスされた米DARPAの研究募集内容が常識(コモンセンス)を獲得する機械の研究であることを指摘して,これらの課題に対する現在のチャレンジも紹介された.
汎用人工知能(AGI)は満足できるレベルで多くのタスクがこなせる知能であり,このようなAGIによって特化型AIが淘汰されること(一般化目的技術),特化型AIをまとめるゼネラリストが誕生することを予想した.またAGIに自律性を付加することで例外に対処できるようになり,生存能力やひいては創造力を持つAIが作られることを指摘した.より包括的には,未知の状況で推論できる汎化性と知識を獲得しようとする自律性の循環的な運用により知のフロンティアを開拓していくことがAGIの大きな目標であると述べられた.
このためには個別の技術を積み上げただけではできない知能を目指す必要があるが,そのために(1)知識の獲得・再利用性,そのための分散表現知識の分解(2)アーキテクチャ開発(3)仮説を探る理論の必要性をあげ,特に(1)について,山川さんらが行った事例として.深層学習モデルの内部パラメータから運動系列の性質を制御する抽象表現を学習する事例が紹介された.
次に脳全体のアーキテクチャに学ぶ,全脳アーキテクチャ構想について話をされた.AGIは簡単に作れるものではないが脳に学んで作ることで(1)開発の発散を防げること,(2)段階的に詳細化すればAGIに到達できる(脳という実例がある)点をあげた.脳型AGIの主要課題として,脳型AGIの実現すべき能力の選定(ロードマップ構築)・いかに特化したAIの寄せ集めとならないようにするか・神経科学が専門でないエンジニアの協力をいか得られるようにするか(開発人材の問題)の3つを挙げられ.これらに対してiterative開発・スタブ駆動開発・知識ベースの構築といった具体的な方策を提案し, これに基づくWBAの研究・開発の一環として昨年行われた眼球ハッカソンの紹介が行われた.ここでは脳型AGIについて望まれる性質を定めて評価が行われていることが示された.最後にAGIの独占を抑制する非営利団体による民主的開発の重要性を述べて,お話を締めくくられた.
脳型AGIという大きな目標を設定すべき意義と実践を,理学及び工学双方の視点で正面から語られた今回のセミナー.企業+NPOや若手の会という有志の集まりによる新しい形態で研究が進められているのも特筆すべき点で,興味を持った学生も多かったと思われる.人と協調する機械には幅広い汎化性能が求められることから,本プロジェクトのアプローチから学べることは非常に多いと考えられる.

世話人 協調的知能共同研究ワーキンググループ

セミナーの様子


2018年10月15日 第12回協調的知能(CI)共同研究セミナー ***第6回ランチセミナー***
日時 2018年10月15日(月) 12:10-12:50
場所 国際科学イノベーション棟 1階ラウンジ

谷口忠大先生 (立命館大学情報理工学部 知能情報学科)
記号創発システム ~人間と記号・言語を用いて協調する知能を生み出すために必要なシステム論に向けて~
人間は社会において記号を使ってコミュニケーションを行っている。それは、人間が進化の結果形成してきた生物進化、文化進化の賜であり、環境適応の結果である。不確実な環境の中で、人間は言葉の仕様を、言葉の意味を動的に変容させながら、個として集団として環境に適応している。この結果、創発的な現象として生じているのが記号システムである。人間と記号・言語を用いて協調する知能(ロボット、もしくはAI)を生み出すということは、このような適応のサイクルの中で、人間と同様に適応し続けられる人工物を生み出すということに他ならない。これこそが記号や言語に関わる知能研究の挑戦である。  本講演では上記のような全体像を捉える枠組みとしての記号創発システムについて概説し、また、これに対する構成論的アプローチとしての記号創発ロボティクスとその成果の一部について解説する。具体的には教師なし学習に基づくロボットの言語獲得や場所・物体概念の獲得に関して触れる。さらに、それを支える技術的要素としての階層的ベイズモデルや、ディープラーニングに関しても触れたい。

世話人 協調的知能共同研究ワーキンググループ

セミナーの様子


2018年7月30日 第11回協調的知能(CI)共同研究セミナー ***第5回ランチセミナー***
日時 2018年7月30日(月) 12:10-12:50
場所 国際科学イノベーション棟 1階ラウンジ

中原裕之先生 (京都大学 大学院情報学研究科)
意思決定と社会知性の脳計算理解に向けて
講演概要:今回のランチセミナーは本学科知能情報学専攻の連携教授でもある理化学研究所脳科学センターの中原先生にお話し頂いた. まず始めに人の機能がどのようにして生物学的な実態から現れるかに興味があり,それを理解して行くのが「計算論」であるという話をされた.そして社会知性の脳計算・意思決定と学習・脳型知能という幅広い分野を「脳の計算」として理解したいという目標を語られた.計算論に基づくモデル化解析の目標として(1)モデルによって人に対する仮説を説明し行動を予測すること,(2)モデルの主要な計算が脳で起きている証拠を見つけること,を挙げられた. 本講演では特に社会知性の脳計算について解説を行って頂いた.社会には他者がいて我々は他者をシミュレーションする必要がある.定量的に社会的な意思決定を理解したい.具体的な定量化手法として強化学習理論を用いることができる.強化学習では報酬予測(価値)が行動を決め,価値は報酬予測誤差を用いて獲得される.強化学習を拡張して「心の理論」を「心の『脳計算』理論」にしたいという動機を語られた. 次にSuzuki et al., Neuron 2012を中心とした研究紹介が行われた.我々は他者の脳システムを何らかの形で再構成して意思決定をしているはずである.自分がそれをするときと同じ脳の領野・プロセスを用いて他者の心を推定しているのだろうか(シミュレーション理論),それともそのような方法は使わずに他者の入出力関係を学習するだけだろうか.前者の場合はシミュレーションした他者の報酬予測誤差等を推定しているはずである.強化学習とモデル化研究を組み合わせることで,他者の報酬予測誤差や行動予測誤差の推定に関わる脳部位を特定しシミュレーション理論が正しいことを示されたが,同時に自分と他者の違いが学習に生かされていることも紹介された.後半では他者の行動が自分の選択にどのような影響を与えるかを定量化する最近の研究の紹介が行われた. 社会性という捉えがたい研究対象に対して,実際にどのようなステップを踏んで研究が行われるのかを丁寧に解説して頂いたことで,学生にとって高次の脳機能に迫る実験デザイン・数理理論・データ解析の手法を学ぶ貴重な機会となった.

世話人 協調的知能共同研究ワーキンググループ

セミナーの様子


2018年7月4日 第10回協調的知能(CI)共同研究セミナー ***第4回ランチセミナー***
日時 2018年7月4日(水) 12:10-12:50
場所 国際科学イノベーション棟 1階ラウンジ

中野倫靖先生 (産業技術総合研究所)
音楽・歌声情報処理に基づくインタフェース構築
音楽・歌声情報に関して、人の能力を補強する協調的知能へつなげるため、信号処理や機械学習による音楽・歌声情報処理技術と、それに基づいたインタフェース構築について述べる。近年、音楽情報処理分野の発展と共に、歌声に関する研究活動が世界的に活発に取り組まれ、学術的な観点からだけでなく、産業応用的な観点からも注目を集めている。そうした音楽・歌声に関する研究は、音楽・歌声固有の特徴に関する基礎研究から応用研究まで多岐に渡る。音楽・歌声信号処理技術が役に立つためには、ユーザ視点での問題発見を含め、対象ユーザの特性に合わせたインタフェース構築が重要である。最近では、エンドユーザが気軽に音楽や歌を制作・発表したり、それを聴いて楽しんだりする文化が広がっており、本講演では、主にそのようなエンドユーザを対象とした我々の音楽・歌声インタフェースの研究事例を中心に紹介する。

世話人 協調的知能共同研究ワーキンググループ

セミナーの様子


2018年6月26日 第9回協調的知能(CI)共同研究セミナー ***第3回ランチセミナー***
日時 2018年6月26日(火) 12:10-12:50
場所 国際科学イノベーション棟 1階ラウンジ

中臺一博先生 (ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン/東京工業大学)
ロボット聴覚とその音環境理解への展開 〜協調的知能の実現に向けて〜
講演概要:本講演では日本初の研究分野「ロボット聴覚」を立ち上げられてから現在に至るまでの展開をお話いただいた.研究開始当時,ロボットブームで人と話すロボットはあったが口元にマイクをつける必要があった.ヘッドセットを介してではなくロボット自らの耳で会話させたかったというモチベーションを語られた.次にロボット聴覚の主要課題として音源定位・音源分離・音声認識を挙げられて,これらを行うロボット聴覚ソフトウェア(HARK)のデモが紹介された.HARKを広く使用してもらうためのオープンソース化や講習会・ハッカソンなど精力的な活動が紹介された.
後半はHARKの展開としてクラウドサービス化や組み込み・車載応用だけでなく動物行動学・鳥の歌の解析など学術的な貢献も紹介された.またレスキューロボットとして雑音の多いドローンのマイクから助けを求める人の位置を特定する試みが紹介がされた.人にはほとんど判別できない音声からも定位を行えることがデモで紹介され感嘆の声が上がった.音源検出・音源同定のアーキテクチャについて先端アルゴリズムの紹介も行われた.
最後に人とのインタンフェースという視点から協調的知能について提案をいただいた.インターフェースのデザインが重要であるが,結局それはシステム設計の問題であり,内部システムも含めた「実システムの設計論」が重要という本質に迫るご意見を頂いた.学生の皆さんにとっては,中臺先生が取り組まれてきたロボット聴覚の紹介を通して,企業と大学を横断した研究活動を知る大変良い機会となった.

世話人 協調的知能共同研究ワーキンググループ

セミナーの様子


2018年5月11日 第8回協調的知能(CI)共同研究セミナー ***第2回ランチセミナー***
日時 2018年5月11日(金) 12:10-12:50
場所 国際科学イノベーション棟 1階ラウンジ

金田賢哉先生 (本郷飛行機株式会社)
本郷飛行機のドローン開発 研究から社会実装まで 〜人とドローンのインタラクションに向けて〜
講演概要:本郷飛行機で行っているドローン開発とその展開について,研究レベルの基礎的な取り組みから,実証実験,サービス運用にいたる多彩な事例が紹介された.まず自律制御と遠隔操作の違いにふれ,現在巷にあふれるドローンが,ジャイロ・加速度センサーを元に姿勢安定制御を自動で行うとはいえ,本質的には遠隔操作(ラジコン)の域に留まることが指摘された.一方で,本郷飛行機でのドローン開発は,自律制御への指向性が高い.そして,人と身近に関わることを意識した研究がなされている.特に,計算資源の限られたハードを前提とした画像処理に基づく自律制御に注力しており,床のテクスチャ情報を用いた自己位置安定化や人物認識を用いた危険回避(見知らぬ人を避ける)が紹介された.また安全と効率のためにはハードウェアレベルでの設計・制御が重要であることが強調された.本郷飛行機独自開発のハードウェアでは,ローレベルの画像処理だけで墜落回避行動をとれるように設計されており,上位のアプリケーションレイヤーで致命的なエラーがおきても墜落を回避できるようになっている.実証実験・実サービスの経験からは,実際に社会に受け入れられ,期待したように一般の人に使ってもらえるようになるためにはドローンの外見の設計が非常に重要であることが事例に基いて紹介された.総じて,企業ならでは実地での知見に溢れた興味深い講演であった.

世話人 協調的知能共同研究ワーキンググループ

セミナーの様子


2018年4月25日 第7回協調的知能(CI)共同研究セミナー ***第1回ランチセミナー***
日時 2018年4月25日(水) 12:10-12:50
場所 国際科学イノベーション棟 1階ラウンジ

高橋英之先生 (大阪大学 大学院基礎工学研究科)
ミヒャエル・エンデのモモに憧れて 〜ロボットによる傾聴場面における心理実験とfMRI計測〜
講演概要:ミヒャエル・エンデ執筆の児童文学「モモ」の中では、他者の話を聞くことに長けた少女モモが登場する。モモに悩みを相談することにより、相談した人たちが自信を取り戻していく不思議な力を持っている。講演者の高橋英之先生は、人とロボットとのかかわりをモモに例えて「ロボットが人の悩みを聞いてあげることにより、人が自信を取り戻せるのではないか」との仮説のもと、そのメカニズムの解明を目指して心理実験手法や神経科学手法を用いて研究を行っている。その研究の中で、ポジティブな話題は人に対して話したがる傾向がある一方で、ネガティブな話になればなるほど、ロボットに相談したくなる傾向にあることを見出した。その脳メカニズムの解明を目指して実施したfMRI計測により、ロボットに対して自己開示している場合には、脳内の報酬系の活動が高まることを示唆する結果を得た。また、ロボットに対して相談することにより、個人間の思考の多様性が促進する結果を得ていることも紹介した。これらの人とロボットとのかかわりについての自身の研究結果より、人間のカウンセラーでは聞き出せないようなことを聞き出せる可能性があるとともに、人のコミュニティ内に触媒として傾聴ロボットを入れることにより行動の多様性が生まれる可能性があることを指摘していた。協調的知能共同研究講座が目指す「人と協調するAI」の実現のための重要な手掛かりとなることが期待できる講演であった。

世話人 協調的知能共同研究ワーキンググループ

セミナーの様子